Netflixのオリジナルドラマ「マニアック」。
今回は一見すると難解(?)な“夢”回ですが、これまでの3話分のエッセンスが出てきたりと、考察のしがいもあります。
4話を見たら、今までのおさらいもしたくなるかも!?
マニアック第4話「セバスチャン毛皮店」あらすじ
B錠の治験を受けているオーウェン。彼の脳内では、オーウェンの姿をした「ブルース」と、アニーの姿をした「リンダ」が夫婦で、一匹のキツネザルをめぐる騒動に巻き込まれる。
マニアック第4話「セバスチャン毛皮店」のネタバレ&感想
第3話は、被験者たちがB錠の治験を始めるところで終わりましたね。
オーウェンの脳内のシーンがちらっと写っていましたが、
・顔はオーウェンやアニーだけど、どうやら別人?のキャラクターが出てくる
・二人ともどことなく80年代風だし、どうも一緒に暮らしているっぽい
と謎なシーンでした。
さて、第4話も引き続き、オーウェンの脳内と思われる1980年代風の世界で物語が進みます。
今までの治験の話と違って「いきなり何の話なのやら…」と思ってしまいがちですが、これはオーウェンが見ている“夢”のようなものなのだと考えるとしっくりきます。
皆さんも、現実の生活で会った人や、聞いた名前、見たテレビ番組などが夢に出てくることはないでしょうか。
私は、高校の同級生や同僚と一緒にホグワーツ魔法学校の学生になっていて、その文化祭のようなものに好きなアイドルグループがやってくるという夢を見たことがあります。
このように「高校の同級生」と「同僚」という、現実ではお互いが知り合い同士でない人たちが一緒に出てきたり
「ホグワーツ魔法学校」のように現実ではありえないような舞台設定だったり
「好きなアイドルグループ」まで出てきたりと、夢は言ってみれば支離滅裂です。
ひとつ共通していることと言えば、どの要素も、私の脳内に記憶されているものであるということです。
高校の同級生とも同僚とも親しいですし、ハリーポッターシリーズは何度か見たことがあります。
好きなアイドルグループの動画なんて、しょっちゅう見ていますしね。
話を「マニアック」に戻すと、いまオーウェンたち被験者はB錠の治験の最中ですよね。
B錠は「被験者自身の心が自らを欺くために作り出した防衛のメカニズムを見つける」という役割の薬でした。
防衛のメカニズム、それは被験者自身の脳内で作られたものでしょう。
人間は、寝ているときに脳の整理をすると言います。
そのために夢を見るとも言われています。
現実にある要素を整理整頓する中で、一見すると支離滅裂ともとれる夢を見るのかもしれません。
脳の整理整頓をする中で、記憶は自分自身の良いように書き換えられることがしばしばです。
それが「防衛のメカニズム」と言えるのではないでしょうか。
さて、そんなわけで、一見するとわけのわからない第4話ですが、オーウェンが見聞きしたさまざまな「要素」が出てきます。
ひとまず、詳しくあらすじを追う前に、メモがてら列挙しておきましょう。
・夢の中でのオーウェン(=ブルース)の妻
…リンダという名前だが、アニーの容姿をしている
・ブルースがリンダに渡すアレルギー薬
…治験のA錠の形をしている
・ブルースが車の中で呼んでいる本に載っている、女性の写真
(キャプションで「オリヴィア・メドウズ、あなたの感情の幽霊」と書いてある)
…第3話でオーウェンが話していた、昔片思いしていたオリヴィアだと思われる。
・ポーラが、生まれてくる男の子につけようとしている名前
(グレッグ・FUN・ナズランド)
…第3話でアニーが話していた、トラック運転手の名前。アニー曰く、妹とアニーの身に起きた交通事故はすべてグレッグのせい。
・ナンシーが話す、両親の事故(?)の話
…第3話アニーが話していた事故の話の影響?あるいは、第3話でオーウェンがアニーに話す内容(オリヴィアの話)の影響もあるかも
こういった、現実でオーウェンが見聞きしたさまざまな要素が彼の脳内で組み合わさって作られたのが、第4話の世界と言えそうですね。
さて、最初からあらすじを追ってみましょう。
第3話から引きつづき、第4話も80年代っぽいテイスト。
流れている音楽もそれっぽい。笑
相変わらずオーウェン…じゃなかった、襟足の長いブルースが出てきます。
(第3話のレビューに「ブルース・ムーン」と書いてしまいましたが、彼が来ているアメフトか何かのユニフォームに書かれている名前は、どうやら彼自身の名前ではないようですね。ムーン選手、という人のファンなのかな)
車輌管理局の前に車を停めて、ハウツー本を読むブルース。
管理局で手続きしている妻・リンダを待っています。
リンダも、ケミカルウォッシュジーンズに巻き毛、風船ガムと、ばりばり80年代っぽいルックス。
管理局には、危険ドライバーの通報にやってきたもよう。
でも、ドライバーの住所も名前もわからず、ナンバーしかわからないようです。
「住所や名前を知ってたら家に乗り込み自分で対処するわ」
「ナンバープレートから何かわかる?」
と職員に尋ねますが、
「情報は提供できないけど、報告書は作成しておく。時間がかかるけど本当に報告したい?」
と言われてしまいます。
「通報するなんて嫌な奴よね、やっぱり取り下げます。でもご親切にどうも」
と引き下がるリンダ。
(話がそれますが、車輌管理局の職員の皆さん、お年寄り多めでしたね。多くの人が手続きを待っていることから、仕事がノロそうだなあという印象を受けます。ディズニー映画「ズートピア」の車輌管理局のシーンを思い出しますね。笑
あのシーンは、アメリカの車輌管理局は仕事がとにかく遅いし待たされるということで、職員が全員“ナマケモノ”になっていましたよね)
リンダは、ブルースの車に戻ります。
管理局で満足な結果を得られなかったリンダに
「残念だったな。そうだ、いまからドーナツでも買いに行く?」とやさしく声をかけるブルース。
(ブルース、容姿こそオーウェンですが、現実のオーウェンとはだいぶ性格が違いますね。現実のオーウェンは自身なさげで暗いイメージですが、ブルースはちょっとそそっかしそうではあるものの、明るくて優しくて妻思いの“良いヤツ”って感じのキャラです。性格が現実と違うのも“夢”っぽいですよね)
リンダはブルースに住所を言い、そこに行くように伝えます。
着いた先は平屋のショッピングモールのようなところ。
モールの中の、毛皮店の前の駐車場には、リンダが探していた「危険ドライバー」のナンバーの車がありました。
毛皮店に入ろうとするリンダ。
「なんで暑い8月に毛皮店に行く?」とブルースは首をかしげますが、リンダは
「いいから店に入って」
と少々強引に店内へ連れて行きます。
毛皮店に入るや否や「化粧室をお借りできますか」と言い、店員のもとへブルースを残して、店の奥のほうへ行ってしまうリンダ。
リンダが向かった先は店のバックヤードでした。
室内を物色し、暗証番号を入れてさらに奥の事務所に入り、そこで見つけたのはなんとワオキツネザル!
「ウェンディ、今ここから出してあげるわ」と、リンダはサルに話しかけます。
しかしそこに店員と思しき男2人が現れます。
バレないように隠れるリンダ。
男たちはキツネザルについて「明日の朝、帽子にするんだ」などと話します。
すきを見て事務所から脱出し、ブルースのもとに戻るリンダ。
そのままブルースと店を後にします。
「そろそろ教えてくれよ、奥でこそこそ何していたんだ?」とリンダに聞くブルース。
(私たち視聴者もそれを聞きたかった!笑)
ナンシーは、わけを話し始めます。
事務所にいたキツネザル(名前はウェンディ―)は、リンダが仕事で看護した女性・ナンシーが飼っていたサルでした。
2日前に2人の男が病院に来て、サルを売ってくれとナンシーに頼みますが、彼女はそれを拒否。
その翌日、ナンシーは、乳がんで亡くなってしまいました。
死ぬ間際、ナンシーはリンダに「キツネザルを娘に届けてほしい」と思いを託していました。ナンシーは娘と絶縁状態。和解のしるしとして最後にあげたかったのかもしれない…。
ナンシーが亡くなったので、リンダはサルを連れて娘を探そうとしますが、その道中どうしてもトイレに行きたくなり、ベーグル店に立ち寄りました。
しかし、そのわずかな間に、例のナンバーの車がサルを連れ去ったのです。
(だからリンダは、車輌管理局でナンバーを伝え、誰の車なのかなどを調べようとしていたのですね)
つまり、ナンシーから託されたキツネザルを、リンダは自分のヘマのせいで毛皮店の男たちに奪われてしまった。そしてそのサルは、明日の朝帽子にされてしまうかもしれない。
でも、キツネザルは違法に飼っていたものなので警察の助けは呼べないし、ナンシーは「リンダでないとダメだ」と念を押してこの件を託してきた…。
どうしたらいいのか、悩むリンダ。
ここまで聞いて、ブルースは「今晩、店に忍び込もう」と提案します。
「私のことへンと思わないの?」と問いかけるリンダに
「そのひたむきさが好きで結婚したんだ」と答えるブルース。
このあたり、第3話でのオーウェンとアニーの会話の内容を踏襲しているように思えますね。
第3話でオーウェンはアニーに
「君は今まで、自分が正しくて周りが間違っていると確信したことはない?」
と問い、アニーは「しょっちゅうある」と答えていました。
オーウェンは、自分が正しいとは思いつつも、どこかで「自分は変なのかも」と思っていた。
でも、アニーがそれを肯定するような答えを言ってくれた。
そのことがオーウェンは嬉しくて、似たようなやりとりがB錠の治験中の脳内にも現れた…のかもしれません。
リンダとブルースは家に戻り、翌朝子どもたちと朝食をとります。
病院へ仕事に出かけるリンダ。子供たちを、ベビーシッターに任せます。
病院へ着いたリンダですが、ナースステーションには見慣れない人物が。
魚類野生生物局のロペスです。
ナンシーのキツネザルの件で、彼女を看護していたリンダに話を聞きたがっていたのです。
「ナンシー・ウォルトンの担当でしたね。よく一緒にいました?」
「彼女は、キツネザルのウェンディを飼っていましたね。今はどこに?」
「実は、ああいった動物は闇取引が盛んで、高く売れるんです。私の仕事はサルの保護だ。サルをマダガスカルの家族に会わせたい」
ヒヤっとするような質問を次々に浴びせられるリンダ。
そこへ、ちょうどいいタイミングでナースステーションへ呼び出すアナウンスが流れたので、リンダはその場を立ち去ります。
仕事を終え、迎えに来てくれたブルースの車に乗り込むリンダ。
さあ、いよいよ毛皮店へ向かいます。
ブルースは、毛皮(チンチラ)のアレルギーがあるリンダに、アレルギー薬を渡します。
(この錠剤が、治験のA錠のかたち!)
が、リンダはそれを飲まずにしまいます。
水鉄砲を黒く塗ったものや、レンガのブロックを「用心のためよ」と持って行くリンダ。準備万端です。
二人は、ブロックで毛皮店のガラスを割って侵入。
キツネザルがいるバックヤード(事務所)へ向かいます。
しかし事務所の室内では、店員が就寝中。
気づかれないように慎重にサルを運び出そうとする二人でしたが、事務所のドアを開けるともう一人の店員が。
ブロックで二人とも殴られてしまいます。
オーナーと店員2人につかまって、手首をガムテープで拘束されてしまうブルースとリンダ。
ですが、窮地に陥ったところに救いが。店に魚類野生生物局が来たのです。
銃を持って、生物局に立ち向かうオーナー。
「人質のキツネザルのウェンディを連れて出てこい」と言われますが、オーナーは「うるせえ」と一蹴。
そこから銃撃戦に発展します。
銃撃戦の最中、ブルースとリンダは手首のガムテープを外すことに成功。
ウェンディを連れて、店の裏口から脱出し、車で逃げます。
車で向かった先は、ナンシーの娘の家。
家の前に車を停め、ナンシーがポツリと「本当に、私ってすごく変よね」と言うと、
ブルースは「全然変じゃないと思うけど。なんだろう、君といると人生が、楽しい。」と返します。
(このやりとり、今回2回目ですね。オーウェンは、だれかに「自分は変じゃない」と認めてもらいたい、受け入れてもらいたいという欲求が強いのかなと見て取れます)
ブルースの言葉を聞いて「ありがとう、じゃあ届けてくるわね」と、リンダは一人で家に向かいます。
やっとナンシーが死の間際に遺した思いを、叶えてあげることができる…。
と思われましたが、待っていたのは意外な真実でした。
ナンシーの娘・ポーラは、リンダが持っているケージの中のウェンディを見るや否や、かなり不機嫌そう。
ですが、ひとまずリンダを家の中に招き入れます。
「サルを渡したい理由なら、お母さんから聞いたわ。
お母さんとあなたには確執があった。
でも和解のしるしとしてお母様の宝のウェンディを渡す…。
あなたを愛していたのよ」
そう話すリンダに対し
「いいえ、愛なんかじゃない、憎しみよ」
と返すポーラ。
まさかのリアクションに戸惑うリンダですが、ポーラから話された真実は驚くべきものでした。
「昨日、母から手紙が届いたの。」
と手紙を読み上げるポーラ。
手紙の内容は、なんとナンシーからポーラへの“恨み節”でした。
・死の間際で、ナンシーはポーラとの口論のことを思い出した。取り返しのつかないことを言ったポーラのことを許していない。
・キツネザルのほうが人間の子どもより優秀だ。人間の子どもより、多くの幸せを与えてくれる。
(サルは口答えしない、わがままじゃない、成功を邪魔しない、だっこが好き、大型車や重機を運転できない…など、キツネザルが優れている点を列挙)
・ナンシーは、子どもを持ったことは失敗だったと思っている。自分の二の舞を踏まないよう、ポーラにはキツネザルのウェンディを育ててほしい
手紙の内容はこんな感じ。
ナンシーは、和解のしるしにキツネザルのウェンディをあげる…。
そう思っていたリンダは驚きますが、ポーラの話を聞いて
「ナンシーが正しいかも。あなた子供を持つべきじゃないかも。」
とポツリ。
当然、ポーラは憤慨します。
「あなた誰?いかにも母が頼みそうな人。でも遅いの、もう妊娠してるんで。
22週後に男の子を生むの。名前はグレッグ・FUN(Fuck You Nancy)・ナズランド。
私よりサルが必要な女への手向けよ」
ポーラはそう吐き捨てるように言いました。
このグレッグ・FUN・ナズランドは、先述したとおり、第3話でアニーが話していたトラック運転手の名前ですね。
アニーと妹の交通事故について、アニーは「この男が全部悪い」と思っています。
リンダは、家の前で車を停めて待っていたブルースのもとへ。
(リンダを待っている間にブルースが読んでいた本に、オリヴィア・メドウズの写真が載っています。オリヴィアは先述したとおり、おそらく第3話でオーウェンが話していた、昔彼が片思いしていた女の子。)
ウェンディを受け取ってもらえず、ショックを受けているリンダ。
ふたりはウェンディを車に乗せて、家に帰ります。
帰路でリンダが話し始めたのは、自身の昔話でした。
昔、妹と目を覚ますと、両親の姿が無かった。
妹と両親を探しに出かけ、しばらく歩くと、父の車を見つけた。
車には父が1人で座って泣いており、父の顔をミラーで見たリンダは、直感で「母は死んだか、もう二度と会えなくなったのだ」と察した。
妹を守らないと…そう思ったリンダは妹と家に帰り、ふたりでケーキを作った。
さも本当にあった話かのようですが、これを聞いたブルースが
「両親はいつよりを戻したの。リンダ、君の両親は離婚していない。」と言って、
リンダが「私疲れたみたい」「自分でも何言っているか分からない」と返すことから、恐らく作り話か何かなのだと見て取れます。
この話の内容は、第3話でアニーとオーウェンが会話した内容の影響が現れているように見えます。
交通事故の話、というと、アニー自身の交通事故の話とリンクします。
また
「一見するとその人の過去の話のようだけれども、本当のことなのかわからない(作り話なのかも)」
という点は、第3話でオーウェンがアニーに話す内容(オリヴィアの話)の影響もあるかも?と考えられます。
家についたブルースとリンダ。
リンダはソファーで休み、ブルースは庭にゴミ出しに行きますが、なんと家の前には魚類野生生物局が。
生物局からひざまづくように言われたブルース。
「妻はやっていません」とかばい、そのままブルースは手錠をかけられてしまいます。
…ここで現実に少し戻り、実験室のオーウェンとアニーが写って、第4話は幕を閉じました。
1話まるまる、現実ではない話だったので、一見すると「なんじゃこりゃ?」という感じでしたが、
冒頭に書いたように「オーウェンが見ている“夢”」と考えると見やすかったのではないかと思います。
まだ被験者は“夢”から覚めそうにないですし、この“夢”が治験にどう作用してくるのか…など今後が気になりますね。
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