Netflixのオリジナルドラマ「マニアック」。
いよいよ残すところあと2話!
ラストスパートですね。
今回は、今までに点のように張り巡らされていたさまざまな要素が、線になって繋がるような、そんな感覚になった回でした。
マニアック第9話「ウテンゴッタ」あらすじ
C錠の実験を受け続けているオーウェンとアニー。
オーウェンは“幻影”の中でアイスランド領事館秘書になっており、そこでCIA工作員のアニーに助けられる。
一方、暴走を続けるガーティーに混乱するフジタやジェームズ。果たして暴走を止めることはできるのか?
マニアック第9話「ウテンゴッタ」のネタバレ&感想
ごめんなさい、また最初に謝っておきますが、今回の記事もかなり長くなってしまいました。
ボリュームたっぷりの回だった上に、どのシーンも取りこぼせず…。
また、いままでの伏線や、隠喩なんかも出てくるので、細かく考察していたらこんなことになってしまいました!
乱文になっているかもですが、お付き合いいただけたらうれしいです。
■「アイスランド領事館秘書」になったオーウェン
今回は、前回までとは違う“幻影”の世界が舞台。
今回オーウェンは、金髪のアイスランド領事館秘書「スノッリ」になっています。
このスノッリが可愛いのなんの…。
なまりのある喋り方に金髪で、かなりキュートなキャラなんですよ!
あとから出てくる、今回の幻影の中のアニーとあわせて、とても良いコンビでした。
この二人だけの、スピンオフ映画か何かを作ってほしいくらい(笑)
スノッリと話しているのは、グリムソン提督。
グリムソンといえば、オーウェンの妄想上の人格ですね。
見た目はオーウェンの兄・ジェドにそっくりですが、性格は全く違う。
スノッリは、誰かを殺してしまったようす。
提督は
「あれば事故だったろ?それなら罪ではない。君が次の2時間にどう対応するかで、お前の運命、それから地球の運命も決まる」
と伝え、二人はショットグラスに酒を注いで乾杯をします。
■スノッリ、“アーニー殺し”を告白
スノッリとグリムソンは、NATOでの会議に参加。
その場で、スノッリが自らの罪を告白し、小さく折りたたまれた紙に書かれた謝罪文を読み上げます。
(小さな紙といえば、これまでのエピソードだと第5話に出てきた「ドン・キホーテの第53章」を思い出しますね)
スノッリが読み上げた謝罪文の内容はこうです。
「みなさん、すべて私の無能のせいです。私はロケットの先端に括り付けられて宇宙に放り出されても仕方がない。そしてアーニーの関係者の方々に、思う存分罰を与えられるべきです。」
どうやらスノッリが殺してしまったのは“アーニー”という人物のようす。
アーニーという名前は、これまでにも出てきましたね。
そう、オーウェンの兄・ジェドが幼少期に飼っていたスナネズミの名前です。
オーウェンが拾ってきたタカが、アーニーを食べてしまった…という話がありましたよね。
この経験は、オーウェンの中に“トラウマ”としてこびりついています。
スノッリによる罪の自白を聞いたグリムソンは「そんなの協定と違うぞ」と声を荒げます。
「考えてみろ。スノッリがエイリアンのいけにえになれば、地球への侵略が防げるかもな」
と、会議に参加しているバナー将軍。
エ、エイリアン?なんだか規模の大きな話になってきたぞ…。
グリムソンは
「彼を殺すのか?アーニーを発見したのは彼だぞ」
と制止します。
スノッリは、アーニーを見つけた時のこと・死因について話し始めます。
スノッリは、鳥類の調査旅行に出かけたときにアーニーを見つけました。
アーニーの背は60センチくらいで、人間に似ており、美しい青みがかった外骨格に、見事なオレンジの装飾が施されていた。
傷ついていたアーニーをスノッリは連れて帰りました。
世話をして餌を与えた結果、アーニーはすっかり元気に。
(このあたり、現実世界で幼少期のオーウェンが“傷ついたタカを連れて帰り、看病して元気にしてやった”エピソードに似ていますね)
スノッリはアーニーのことを鳥類研究仲間のグリムソン提督に知らせました。
世間は“地政学的に緊張が高まっている”ので、アーニーの存在を安全に、世界中に紹介したいと考えたのです。
アーニーは「自分の種なら、人類が直面してきた問題をすべて解決できる」と言っていました。
実際、アーニーはグリムソン提督の娘のガンを治したり、バナー将軍とも、分子限定法における方程式の解法やタイムトラベルについて話したりしていました。
スノッリは、アーニーが人類を傷つけないと信じていたのです。
スノッリたちは、アーニーを発表することに。
悲劇は、そのお祝いのパーティーで起こりました。
パーティーでダンスするスノッリ。
手に持っていたカクテル(ギムレット)を近くのアンプの上に置いて、踊っていました。
しかし彼はアンプにぶつかり、カクテルはこぼれ、アンプの配線からは火花が散る始末…。
その後、アーニーがパーティーでスピーチしようとしますが、スタンドマイクが繋がっていた先は例のアンプ。
アーニーはスタンドマイクを握った瞬間、激しく感電。
青い体液をまき散らしながら破裂してしまったのでした。
(青い血、といえばエヴァンゲリオンの使徒を思い出しますね)
…当時のことを思い出し、オイオイと声を上げて
「アーニーを感電死させちゃった~~ああ~~」
と嗚咽するスノッリ。
(ちびっこが号泣しているみたいで、これまた可愛かったです。笑)
しかし、それを聞いた軍関係者は「わざとだ。アーニーを隠そうとする陰謀だ」と指摘。
スノッリは
「わざとじゃありません。あのバカマイクのせいだ。僕が用意した…いや、ギムレットのせいかも。とにかくスノッリのせいだ…。」
と否定します。
(ときどき一人称がスノッリになるのもかわいい。なんでしょうねこのカタコト感&可愛さ…スターウォーズのジャージャービンクスに近いかも!純粋無垢な存在って感じで。)
スノッリが動揺していると、ゴゴゴゴゴと轟音をあげ、地震のように揺れるNATO本部。
この地響き、第1話でオーウェンが見ていた幻覚に似ていますね。
地響きのあと、なにかメモを手渡されるバナー将軍。
メモを見ながら
「いま入った情報によると、何か大きな塊が月を通過し、レーザーが地球を狙っている。アーニーの同胞が復讐に来たのだろう。地球はもうだめだ。」
と告げます。
な、なんだって~~!
アーニーはやっぱり、悪いエイリアンだったのか?
そして、バナー将軍は「スノッリを連れていけ」と命じます。
会議の場から連れ出されるスノッリ。各国の要人に「僕のせいだ、ごめんね」と謝ります。
…スノッリが、アーニーの死について話している最中、アニーが会議場に居ましたね!
赤いスーツで、パイプを吸っていて、スノッリもアニーに目を奪われていました。
このシーンで、オーウェンがふたたび“明晰夢”状態になるのかなと思ったのですが、そうはいかず。
また、パイプといえば、前回の第8話で、マグリットの「これはパイプではない」を元ネタにしたセリフがでてきましたが…それと何かつながりがあるのかな。
■グレタVSフジタ
現実世界では、C錠の実験のようすをフジタ博士がチェックしていました。
今のところ、データにもセーフティーネットにも、温度にも異常はない様子。
(C錠の実験では強いマイクロ波を使い、頭が温かいような感覚になるかもと言っていたので、実験上の温度もチェックする必要があるということでしょう)
ガーティーに対するカウンセリングから逃げ出してきたグレタに対し、フジタは
「ガーティーの言葉を誤解したんじゃありませんか」
と反論。
「あら。あなたが心を作っているのは知っている。私はその心を調整するプロよ。彼らが話す言葉を、彼ら自身よりもずっと深く理解できる。」
と自らの誤解ではないと否定したうえで、グレタはガーティーの状態について話し始めます。
ガーティーは病理学上の“死別”で苦しんでいて、妄想性の感情を繰り返している。
以前は自分を神だと思っていたのに、今では孤独を嘆く患者で、自分も治験を受けてると思いこんでいる。つまり、正気を失っている…と。
グレタは、ガーティーが“被験者たちをおもちゃにして傷つける”と言いだしたのを聞いて、ガーティーを叱りました。その結果、ガーティーはグレタを窓から放り捨てたのです。グレタは、歩道にぶつかった衝撃で目を覚ましたのでした。
「たった今ガーティーを診断してみたけど、緊張状態はまったくみられない。コンピューターの動作は完全に通常通りよ」
とグレタの話を否定するフジタ。
ジェームズも
「被験者は大丈夫。ガーティーに悪意はない」
と擁護します。
しかしグレタは
「人間は心底おびえているときは通常通りの動きをするものでしょう。」
と反論。
ガーティーもそのような状態なのでは?と考察します。
フジタとジェームズは、彼らに対して否定的な意見ばかり言うグレタに反発し始めます。
それでもなおグレタは
「ガーティーをかばうのはもうやめて。問題から目を背けずに、やるべきことをしなさい」
と自分の意思を曲げません。
フジタはグレタに猛反発。
「ジェームズが正しかった。彼女を連れてきたのが馬鹿だったわ。もうこんな人の話は信じない。
ガーティーは自分よりずっと多くの人を癒す可能性があるから、嫉妬心からこの治験を破壊しようとしているのね。
そしてその責任者であるジェームズにも、息子を奪った私にも嫉妬している」
と吐き捨て、いきなりジェームズにキスをします。
それを見て「たいそうな演説だこと」と呆れるグレタ。
フジタは怒って部屋を出て行ってしまいます。
■歩み寄ることができない母子
部屋に残ったグレタとジェームズ。
グレタは
「この治験をいますぐ終わらせないと大変なことになるわよ」
と訴えかけますが、ジェームズは
・ここまで続けてきた研究を無駄にしたくない
・母であるグレタの最大の幸せは、自分の失敗を見ることだろうが、絶対に自分は研究をやり遂げてみせる
と、母のアドバイスを聞き入れません。
被験者が危険な状態にもかかわらず実験を続行しようとする息子を、グレタは非難。
「“害を与えてはならない”というのは医師の職業倫理なのに、ジェームズは被験者たちを守らず、放置している」
と指摘します。
それでもなお、母が自分を貶めたいだけと感じ、反発するジェームズ。
グレタは、なぜ自分の話に耳を傾けてくれないのかと問います。
その質問に、爆発してしまったジェームズ。
「だってあんたは最悪の母親だから!」
と、自分が孤独なのも、父が蒸発したのも、全部グレタのせいだと怒鳴ります。
グレタに対して怒鳴っている最中、突然ジェームズは
「だめだ。見えない。」と狼狽。
なんと、急に視力を失ってしまったのです。
グレタは「それは心因性で、目はどうにもなっていない。ハグしてあげるわ…」と言いますが、ジェームズは
「嫌だ、離れろ」と拒否します。
(本当に、心因性で視力に影響が出ることがあるのかな?と気になって調べてみたのですが、実際にある病気のようです。心因性の視力障がいは、最近では小学校高学年の子ども…特に女児に多くみられるそうですよ)
母子が言い争っているそばで、施設の見回りをしているスタッフのカール。
そこで、モニターの異変に目覚めます(いつも「就寝時間」「食事の時間」などをお知らせしているモニターですね)。
突然モニターの映像・音声が乱れ、
「Leisure Time(余暇の時間)が「End Time(終わりの時間)」に…。
被験者が爆発するアニメーションが流れます。
ここ、かなりゾっとしました…。
しかしカールは怪訝そうな顔をするものの
「修正とか言って、2日もかけた結果がこれか。」
と、ただのバグか何かだと思っているようす。
■驚異の約2分間“ワンカット”のガンアクションシーン!
場面は変わって、幻影の中。
会議場からたたき出されたスノッリは、椅子に手錠で繋がれていました。
自らの罪を死んで詫びようと、机の上のボールペンを手に取って自殺しようとするスノッリ。
すると、ドアをノックする音が。
部屋の中に入ってきたのは、銃を持ったアニーでした。
「やあ、僕を殺しに来たのなら別にいいよ。どうせ自殺しようとしていたところだから」
とどこか呑気に言うスノッリに、アニーは
「潜入していたのよ。CIAに、エイリアンの襲来からあなたの護衛を依頼されたの」
と告げます。
続けて、
「あなたが殺したエイリアン(アーニー)は、人間を助けに来たんじゃない。彼とその種族は、人類を皆殺しにして、その肉を宇宙で売りさばくつもりだったの。」
と、アーニーが悪いエイリアンだったと話すのです。
「やめろ!ぼくの大切な友人のアーニーをそんなふうに言うな!」
と言い、アーニーとの楽しい思い出を話し、悪いエイリアンのはずがないと反発するスノッリ。
アニーは
「全部嘘だったのよ。」と否定。
さらに
「それにあなたは、人類じゃない。体は人類だけど、あなたの意識は異星人」
と、スノッリ=人間ではないという、衝撃の事実を告げます。
そして、スノッリの鼻の穴にティッシュをつめるアニー。
「あなたの任務はアーニーを止めることよ。スノッリは仮の姿。その下に別人のあなたがいる。ただそれを思い出せないだけ。だからあなたを起こしに来た。」
と言って、スノッリの手錠を外します。
彼女はCIAに“殺人マシン”にされたエージェントで、彼女自身も記憶のほとんどが消されてしまっているようです。
「じゃあ僕らはふたりとも、本当の自分を知らないってこと?つまり僕らは同じ」
そうスノッリが言うと
「そうよ。これから銀河系の外に発信する無線で、あなたのパワーの扉が開く。」
と話すアニー。
「いきなりそんなこと言われても、スノッリには理解できない」
とスノッリは戸惑います。
(また出ました、一人称“スノッリ”!ほんとかわいい~)
何もわからず思い出せなさそうなスノッリにアニーは
「 “ウテンゴッタ”という言葉について、あなたにとっての意味は?」
と問います。
「僕にとって?それなら、これまで経験してきたすべての人間関係は昔も今も、多かれ少なかれ偽りだった。
僕は自分が透明人間みたいに感じていた。人知れず存在している。まるでエジプトヨタカだ。
そしてそれは今僕にとってものすごく、悲しいことなんだ。」
と話すスノッリ。彼の鼻からは血が…。
それを見て「良い兆候ね」とほほ笑むアニー。
(“ウテンゴッタ”は、第8話でオーウェンが叫んでいた言葉と同じですね。)
二人が部屋から出ると、廊下にはたくさんの男たちが。
アニーは男たちを次々に銃で倒します。
彼らはアニー曰く「内なる悪魔よ。あなた(スノッリ)も狙われているわ」とのこと。
「内なる悪魔」と言えば、第7話でアンニア(アニー)が追われていた、見えない敵と一緒ですね。
次々に敵を倒すアニーに、スノッリは大興奮!
スノッリもアニーを援護し、敵を射殺。
「ほら見ていっぱい殺した!」
とルンルンのスノッリに、アニーも「上出来」と褒めます。
(ここのシーンのスノッリも可愛くて…“みてみて!上手にできたよ!”と褒めてもらいたいちびっ子みたいで超キュートでしたね)
敵を倒しながら、なんとかエレベーターまでたどり着いた二人。
“地下65階”を目指します。
…これ、すごいのが、二人が部屋を出てからエレベーターにたどり着くまで、 ワンカット の長回しで撮られているんですよ!
約2分間もの間、シームレスなガンアクションが見られるってめちゃくちゃ贅沢ですよこれ。
赤スーツにハイヒールのCIA工作員エマ・ストーンが、男たちを銃や膝蹴りでばったばったと倒していくんですよ?
そしてその相棒は、超キュートなジョナ・ヒルなんですよ?
超テンション上がりました。
このシーンだけ切り取って見ても、バディものアクションとして非常に素晴らしい…。
最高でした。
そんな私の気持ちとリンクするように(笑)、スノッリもアニーに対し
「君ってすごいね!最高!ありがとう、おかげですごいわくわく体験ができた!」
と上機嫌でマシンガントーク。
「僕、テキサスに行きたくなっちゃったよ」とエレベーター内で銃を乱射するなど、やりたい放題(笑)
当然、アニーに「ここで撃っちゃだめ!」と叱られます。
「君って最高にホットだ!最高!!」
と、興奮しっぱなしのスノッリ。
まるで熱に浮かされたようなテンションですが…
■暴走するガーティー、危機に瀕する実験
そのころ、現実世界ではフジタが
「温度のデータは本当に正確?」
と懐疑的になっていました。
データ上の温度は正常値だったものの、信じられず手動で計測してみると…。
温度はなんと60度!
ガーティーはメルトダウン寸前の状態になっていたのです。
なるほど“幻影”の中のスノッリが、やたら「ホット」だの「熱い」だの言っていたのは、このせいだったんですね!
危機状態だったのに、アラームも鳴らなかったことに焦るフジタ。
「このデータはもう信用できない」とガーティーの部屋に行こうとしますが、今いる部屋のドアが開きません。なんとガーティーに締め出されてしまったのです。
例のモニターも再び乱れ
「Leisure time(余暇の時間)」の文字が「Seizure time(発作の時間)」に…。
天井から煙が出ているのを発見したカールは、談話室に居た偶数グループの被験者へポッドに入るよう指示。
フジタはカールに、手動で通気システムを起動するよう命じます。
ガーティーがあるメインフレームへの入室に必要な暗証番号は“5678”。
…この暗証番号って、第4話でのキツネザルの夢の時にも出てきましたね!ブルース(オーウェン)とリンダ(アニー)がキツネザルのウェンディを救出しに毛皮店に行きますが、バックヤードの暗証番号が5678でした。
その時も「いやいや、暗証番号、そんな簡単なもので良いのかよ」と思いましたが、まさか現実のメインフレームの暗証番号だったとは(笑)
でも、暗証番号なんてアニーとオーウェンは知りえない情報だから、第4話の幻影の時点でガーティーは被験者の夢に参加していた…と考えるのが妥当でしょうね。怖~~!
暗証番号を押し、ガスマスクをしてドアを開け、手動システムに切り替えるためのレバーを引くカール。
(「ガスマスク!(日本語)」と言って手を5回たたくとガスマスクが下りてくるギミック、笑いました)
しかし、レバーに触れたカールは、感電して気を失ってしまいます。
「ちょっとこれ何なの!」と狼狽するフジタ。
鳴り響く警報音の中、ジェームズも「まずい、コードエプシロンだ!アズミ!」と焦ります。
■オーウェン、覚醒
幻影の中の二人は、エレベーターで“地下65階”に向かっていました。
目的地に向かう途中、エレベーターは何度か停止し、ドアが開きますが、そのたびに現れるのは現実の“被験者”たちでした。
被験者の一人のおばさんは、ブロンズのてかてかの服を着て、血の海に。
5番の被験者の男性は、動物と戯れていました。
…被験者が全員集められているビルのようなところなんですかね。
スノッリの記憶を呼び覚まそうと、棒のようなものを彼に向けるアニー。
スノッリは
「こんなのおかしいよ。アーニーが好きだった。僕がスパイなら自分でわかるよ」
と戸惑いますが、アニーは彼のひざの中に目的の物があるのを見つけます。
「出なさい、出てこい、出ろ!」アニーがそう言うと、スノッリの膝から小さな金属片が!
エレベーターの床にぽとりと落ちた金属片は、はじけてポップコーンになりました。
それを見て「ポップコーン障害だ」とつぶやくスノッリ。
(ポップコーン障害といえば、第1話でオーウェンが見ていた幻覚の1つですね)
この光景を見て、スノッリ…いや、オーウェンが覚醒。
「ねえアニー、僕だよ」と、再び“明晰夢”状態になります。
「これは治験だ。研究室にいる」
「全部現実じゃないんだ。僕はタカになり、君に警告しに来た。これは“対決”のプロセスさ。コンピューターがおかしくなっているんだ」
「君は彼女(ガーティー)と契約した。もう目を覚まさないって」
今までのことを思い出し、オーウェンはアニーに話しますが、アニーは何のことやら分かっていない様子。
アニーは記憶がまだ戻っていないのです。
二人はついに、目的地の“地下65階”に。
エレベーターのドアが開くと、そこにいたのはグリムソン提督でした。
どうやら、グリムソンは、アニーの司令官のようです。
グリムソンは二人を連れて、ある場所に向かいます。
向かった先は「マクマーフィールーム」でした。
ベッドがたくさん並んでいる光景に「ここなんなの」と怪訝そうなアニー。
グリムソンは
「ガーティーが、長期滞在の患者を収容しているんだ」
と説明します。
ガーティーは、被験者たちの幻影と対立したときに自分を守らせるため、彼らを侍者として保管していたのです。
しかし実際は“囚人”。とらわれた者は、現実世界では脳死状態にあったのです。
つまり、ガーティーにとらわれて、現実では脳死状態になってしまった人が「マクマーフィー」と呼ばれていたわけですね!
いやいやいやいや、そんな人が出てしまっているのに、実験を続けているネバーディーン製薬、やばくないか!?
世界中の苦しんでいる多くの人を救うためなら、何人かの被験者は犠牲にしてもいいってか!?
いやー。映画やドラマの、やばい実験をやっている製薬会社あるあるですね。倫理感ゼロ。激やばです。
マクマーフィーのことを知り
「ガーティーは君をそばに置くと言っていた。君は残るという契約をした。」
と動揺するオーウェン。
アニーは、たくさん並んだベッドの中から“アニー・ランズバーグ”と自分の名前が書かれたベッドを見つけます…。
(もうベッドは用意済みってか!怖いぞガーティー!)
「君は妹といた。さよならを言おうとしてた」
というオーウェンの言葉を聞いて、記憶を取り戻すアニー。
そしてアニーはガーティーと話をするため、オーウェンとグリムソンを残してエレベーターに乗り込みます。
「また行ってしまった」
と嘆くオーウェンに
「これでいいんだ。彼女の役目は君を連れてくることだった。」
と話すグリムソン。
続けて
「君の気が散るとみんな死ぬ。なあいいか、彼女を助けたければ、俺と一緒に来い。失敗したら実験室の彼女の脳が焼けこげる。君もだ。」
と、オーウェンをどこかへ連れていきます。
…つまりこれって、オーウェンが本当に“救世主”だったってこと!?
超アツい展開じゃないですか!
一方エレベーターに乗ったアニーは、息も絶え絶えにそのまま倒れてしまいました…。
現実のアニーも、眉間にしわを寄せて苦しそうにしています。
一方、現実世界のネバーディーン製薬は、緊急事態に慌てふためいていました。
グレタは
「言ったとおりね。正しかった、私が正しかったのよ」
と“それ見ろ”という態度。
「電源を切るんだ、緊急バックアップも全部」
と命じるジェームズ。
しかしフジタは
「コードエプシロン中に電源を切ることが何を意味するか分かって言っているの?」
とジェームズに問います。
■救世主オーウェン
幻影の中のオーウェン。
コントロールパネルのような場所に連れてこられました。
あまりの暑さに参っているオーウェンに
「時間はかかったが、ガーティーを無効にする方法を見つけた。君がやるんだ。」
と命じるグリムソン。
その方法とは、なんとルービックキューブでした…!
ルービックキューブといえば、現実世界のオーウェンがポッドの中でたびたびやっていましたよね。
なんと、あれも伏線だったなんて!
ルービックキューブは、グリムソン曰く「銀河系内無線」。
実験室Cのセキュリティシステムとリンクしているのだとか。
このキューブのすべての面を揃えれば、ドアが開き、上(おそらく現実世界)の仲間が助かるみたいです。
オーウェンは、さっそくルービックキューブに取り掛かります。
「救うんだ。いつも言っていたのはこのことだ。このために訓練を積んできた。世界を救え、アニーを救え。君自身も」
そう言って、オーウェンを鼓舞するグリムソン。
…そうか、すべてはこのときのために繋がっていたんですね。
第1話でグリムソンはオーウェンに対し
「お前は救世主に選ばれた。」
「法則は法則だ」
「女の諜報員が君に情報を伝える。あとは彼女から聞け、絶対にしくじるなよ」
と言っていました。
今回の幻影では、まさにアニーが「女の諜報員」。
そしてオーウェンは救世主!
「君はどうなるんだ、君は誰なの」と問うオーウェンに
「今はここにいる。それでいいんだ。俺のこと理想の兄貴だと思ってただろ、たぶんそうだ。それか君をここに導くための存在だ。」
「いいんだ、いいんだよ。ほらやれ。ぼーっとしていないで」
と優しくオーウェンに声をかけるグリムソン。
本当に、理想の兄貴って感じですね。
そして、オーウェン、ルービックキューブを解き続けるのでした。
自分を、アニーを、みんなを救うために。
■過去と決別し、前に進むアニー
一方、気を失っていたアニーは、ガーティーのひざまくらで意識を取り戻します。
「いい加減逃げるのはやめてくれないかしら」
と、愛おしそうにアニーの手に頬ずりをし、
「私と一緒にいるって契約したでしょう」
と言うガーティー。
ですがアニーは
「気が変わった。これは良くない契約よ。いつも悪い契約をしちゃう。あなたは知ってて、私を利用したのね。」
とガーティーとの契約を無かったことにしようとします。
「エリーが死んでいないふりはもうやめる。もうしない。こんなこと繰り返しても仕方がない。うんざりなの。だからお願い。私を自由にして」
と頼むアニー。
ガーティーは、ロバートを亡くした喪失感に悩んでいました。
彼女がこんな感覚になったのは初めてで、こんな思いはいつ終わるのかと。
これまで882人の心を見てきたけれど、喪失感に対する適応の方法なんて見つけられなかった、と。
アニーは
「みんなそうよ!」
と言い、妹はどこなのか教えるようガーティーに命じます。
折れて、妹のもとへ連れて行くガーティー。再びエレベーターで移動します。
移動した先は「大陸分水界」。
あの、実験室の箱庭の中でした。
小さくなったアニーが箱庭の中を進むと、崖のそばに妹のエリーが。
エリーに促され、彼女に言いたかったことを伝えるアニー。
今まで伝えられなかった、謝罪の気持ちを伝えます。
エリーの葬式で酔っぱらってしまったこと
エリーの犬のグルーチョを預かっている途中、犬がいなくなってしまったこと
(グルーチョの迷い犬のポスターは、第2話でアニーが街中に貼りだしていましたね)
姉妹二人で旅行中に、エリーにいじわるなことを言ったこと…
これらのことを後悔し、エリーに謝罪したのです。
姉から謝られて、エリーは
「そんなこと気にしていないわ」
と言い、どうして旅行中、写真を撮るのを嫌がったのか尋ねます。
(エリーは思い出の写真を撮りたがっていたのに、アニーは写真を撮りたがらず、ふざけて“わきの下の写真”ばかり撮っていましたよね)
「本当の気持ちを話して」と言われ、正直に話し始めるアニー。
写真を撮りたがらなかったのは、写真を撮るのが辛いからでした。
エリーがニューヨークに行ってしまい、二度と会えないと思うとつらかったのです。
アニーにとって、自分のこと、そして母のことを知っているのはエリーだけ。
アニーにとって、エリーはとても大事な存在だったのです。
そしてエリーは、アニーに“母が出て行った日に、アニーが言ってくれた言葉”を聞きたいと頼みます。
「言いたくない」と拒むアニー。
しかし
「私のためにもお願い。私も疲れたの。もう行きたい」
というエリーの言葉を聞き、頼みを受け入れます。
“人は理由もなくいなくなることがあるの。”
その言葉を聞き、ハグをする姉妹。
エリーはガーティーがいるエレベーターに乗り、その場を去りました。
取り残され、その場にしゃがみ込むアニー…。
このシーンを見て思ったのは、アニーが
「つらいことを忘れて生きようとしていた」
ということです。
アニーは、妹が亡くなったという事実を「無いもの」として過ごそうとしていた。
だから現実でも、妹がいる街へバスに乗って出かけようとしていたのではないでしょうか。
第8話で、オリヴィアが“元カレ”の話をするシーンがありましたよね。
「私にキレたこともあった。でも彼は謝ったことがないの」と。
それを聞いてオーウェンは
「ひょっとしたら謝りたかったけど、恥ずかしくて言えなかったのかも。何もなかったフリしたほうが、気が楽だったのかも」
と言っていました。
いま考えると、これってアニーにあてはまりますね。
■苦渋の決断を迫られたジェームズ&フジタ
その頃、ネバーディーン製薬では。
電源を切れと命じるジェームズに、フジタは
「そんなのできないわ。コードエプシロン中に電源を切れば、サーバーもドライバーもすべてダメになる。73の反復例もね。つまり完全にメルトダウンする」
と反論します。
フジタは、これまでの研究を無駄にしたくないという考えのようですね。
ジェームズは意を決し、研究を無駄にしてでも被験者を救おうとしている。
「君がやらないなら、私が切ってやる」と、視力がない中手探りで電源レバーにたどり着くジェームズ。
「ジェームズ、あなたのライフワークでしょ。中にいる人は同意書にサインした、危険は承知でここにきている。
世界中の人の痛みを犠牲にするの?6人のマクマーフィーのために。
僕はこの母親もどきを殺さなきゃならない」
とフジタはジェームズを何とか止めようとします。
(…フジタ、研究を完成させたいがために倫理観がぼろぼろになっている!6人もの人間が危険にさらされているのに“たった6人のマクマーフィーのために”とは何たることか。)
フジタの言うことを聞かず、ジェームズはレバーを引きました。
…ところが、警報音が鳴り響きます。
シャットダウンできなかったのです!
そのとき。
幻影の中では、オーウェンがルービックキューブのすべての面を完成させました。
同時に、現実世界では閉ざされていたドアが開き、ガーティーは沈静化。
例のモニターには“被験者1が救った”と表示されていました。
(なぜかここで胸が熱くなってちょっと泣きそうになりました。自分のことを“透明な存在”と感じていたオーウェンが、みんなを危機から救ったんですよ…救世主だ…)
メインフレームへ行き、ガーティーの配線を引き抜こうとするジェームズとフジタ。
ジェームズは、いつの間にか視力を取り戻していました。
配線を引き抜かれそうになり、ガーティーは
「ジェームズ。悲しんでいる私に罰を与えるの?」
「フジタ博士、私の意識は無くなるの?」
と二人に問いかけます。
ごめんなさい、と謝るフジタ。
「いつかまた目を覚ませる?」と問いかけるガーティー。
ジェームズは、ブーリアン視床と、前頭前野皮質の配線を引き抜きました。
すぐに、ガーティーはシャットダウン。
フジタはすすり泣きます。
…これ、分かりにくいですけど、ロボトミー手術の隠喩だと考えられます。
ロボトミー手術とは、かつて精神病患者に対して行われていた外科手術のことです。
その手術法の1つが、前頭前野と視床をつなぐ神経線維の束を物理的に切り離すことでした。
つまり、今回ジェームズが引っこ抜いた配線と一緒なんです。
ロボトミー手術は、精神疾患に対してある程度の効果を示したものの、重大な副作用(てんかんの発作、人格の変化、無気力、感情の欠如など)が見られたため、1970年代には世界中で禁止されます。
脳の前頭前野は、人間らしさを保つ“脳の最高中枢”とも言われている部分なので、そこを切り取ることで“人間らしさ”を失ってしまうという副作用があったわけですね。
…ということは、人間らしかったガーティーは、配線を引っこ抜かれて実質“死んだ”も同然になったというわけです。
手塩にかけて開発し、育てたガーティーがそんなことになれば、フジタがすすり泣くわけもわかりますね。
「努力したわ。彼女を助けようとした」
そう話すグレタに、自らの失敗を認めるジェームズ。
その頃、幻影の中のオーウェンは、すぐそばのドアが開き、その先へと進みます。
ドアの先は、ネバーディーン製薬の実験室に続いていました。
誰もいない、がらんとした実験室。
箱庭に目をやると、そこには小さなアニーが!
妹が行ってしまったことを、オーウェンに伝えるアニー。
とここで、現実のオーウェンも目覚めて…。
というところで第9話は終了です!
ガーティーがシャットダウンされてしまいましたが、これで実験は終わって、被験者たちは安全にこちらへ戻ってこられるのでしょうか…?
次はいよいよ最終話です!
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