Netflixのオリジナルドラマ「マニアック」。
いよいよ最終話!
ついにラストまで来ましたが、見終わった今、さわやかで温かい感動に包まれております。
いやー良いドラマだった!
マニアック第10話「3つ目の可能性」あらすじ
実験を終え、ネバーディーン製薬を後にする被験者たち。
オーウェンとアニーは別れ、ふたたびそれぞれの生活に。
しかし、アニーはオーウェンとの体験を思い出し、別れを後悔する。
そんな中、アニーはある“サイン”に導かれ、オーウェンと再会を果たすことになる…。
マニアック第10話「3つ目の可能性」のネタバレ&感想
■実験成功?
C錠の実験を終えた被験者たち。
あまりの暑さにみな、頬を紅潮させ、汗だくで目覚めます。
よたよたと実験室の外に出てきた被験者たちを見て
「ああ、よかった」「よかった、無事だ。生きてる」と声を漏らすグレタとジェームズ。
5番の被験者の男性は「それって予想外ってこと?」と首をかしげます。
(やっと実験が終わって、博士から“無事だ、生きてる”って言われたら怖すぎですよね。笑)
オーウェンはグレタに「先生のファンです。本、全部読んでます」と話しかけ、
グレタは「ありがとう」と返します。
(やっぱり、オーウェンはグレタのファンだったんですね。だから“幻影”にも、グレタがたびたび出てきていた…と)
アニーは実験室の椅子に、ぐったりと座ったまま。
ジェームズはそんな彼女に
「ULP試験の73回目が完了した。大成功だよ、おめでとう。治りました。」
と話しかけます。
(ガーティーを強制シャットダウンしたけど、アニーは唯一の成功例となったということなのかな?)
■ようやく歩み寄った母子
場面は変わって社長室。
例の“モニター社長”から、ジェームズ、フジタ、グレタはお叱りを受けます。
「長い年月をかけ研究を積み重ね、数百万ドルをつぎ込んできたのに…」と。
ガーティーは、もう“存在しなく”なってしまいましたからね。
ムラモト博士の遺族も、会社を訴えるもよう。
グレタも“金儲けのために、自分の心を盗まれた”ことに腹を立て、訴訟を起こすつもりだと話します。
そして
「二度と私の息子をこの業界で働かせないことね。人類と息子自身のためなの」
と社長にピシャリ。
ジェームズはそんな母に
「母さん、考えたんだけど、今度一緒に、そのへんでランチでもどうかな」
と誘います。
(結局、グレタは“仕事が忙しく、しばらくランチする機会はなさそうだわ”とだけ答えますが)
あんなに対立していたジェームズと母が、結びつきを取り戻したことがわかるシーンでしたね。
■別れる二人
被験者たちは、ネバーディーン製薬を後にします。
会社から出る間際、受付の女性から小切手(?)を受け取るアニー。
そう、この受付の女性は、アニーが第2話で脅迫していたパトリシアですね。
ネバーディーン製薬の受付であるパトリシアを脅迫することで、アニーは治験に潜り込みました。
アニーは去り際にパトリシアに対して
「娘さんを傷つけたりしない。あの話はうそよ」
と謝ります。
パトリシアは
「役に立てたなら。秘密保持に注意を」
とだけ答えます。
その後、アニーを追うオーウェン。
そして
「アニー、君は未だ心の整理をしているところだよね。
ただ言っておきたくて。実生活では君につきまとわないから安心して。
君とのこと、勘違いしない。僕って混乱するから。悪い癖だなんだ」
と彼女に伝えます。
アニーは
「そっか。そう思うならご自由に。」
とだけ答えて、二人はそのまま別れました。
あれだけ二人で助け合って、いろいろなことを乗り越えてきたのに、別れがあっさりしていて悲しい…。
とても寂しい気持ちになるシーンでした。
その後、アニーは元居たシェアハウスへ。
オーウェンも自分のアパートに戻りました。
オーウェンは帰路で“パパの家”の広告を見かけますが、そこにアニーの写真はありませんでした。
(第1話でオーウェンが見かけた“パパの家”の広告には、アニーが写っていたのに…。あの時、アニーの写真の広告をオーウェンが見たのは、やっぱり何かのサインだったのかなあ)
そして、アパートに戻ったオーウェンは、オリヴィアへの手紙を書き始めるのでした。
オリヴィアに手紙を書く、という行為は、
・過去にオリヴィアにしてしまったことを謝る
・アニーへの執着を捨てるため
という2つの目的があるのかなと感じました。
■愛する二人
一方、エレベーターの中のジェームズとフジタ。
ジェームズが、
「いろいろと悪かったよ。呼び戻してもらったのにね。」
と謝ると、フジタは
「他に方法がなかった。計算ミスだったけど、それがなくても失敗していたと思う。ガーティーが耐えられない状況を作ったのは私」
と“ジェームズは悪くない・自分の責任だ”と返します。
「君がGRTAで行った試みは見事だよ、アズミ。ただ、ガーティーは一大プロジェクトだった。」
と、フジタをねぎらうジェームズ。
そしてジェームズは
「もしかすると、母のふるまいじゃなく、君のキスがきっかけで、視覚野の機能が止まったのかも。」
と、心因性の失明状態になったときに見た“ビジョン”のことを話し始めます。
海にいたジェームズとフジタ。ジェームズにとって、フジタは最初の友達で大事なパートナー。そして二人で、失われた都市アトランティスへ旅に出る…。
「私ボートは苦手よ」と言うフジタ。
そして、二人は激しくキスをしました。
(気持ちが通じ合った良いシーンなんですが、二人のキスがあまりに激しすぎて笑ってしまいました。リメイク版『ジュマンジ』のキスシーンみたいな感じ。笑)
そして、フジタはジェームズをドライブに誘うのでした。
フジタの車が、黒地に炎のペイントでゴリゴリな感じだったのが面白かった。
ジェームズも戸惑ってましたね(笑)。
この車、第7~8話での“幻影”の中のオーウェンが乗っていた車にちょっと似ていましたね。
あと、フジタ駐車へたすぎで笑いました。
駐車がへたすぎて、助手席に乗れないジェームズ…笑
■正義を貫いたオーウェン
浜辺のベンチで、オーウェンは母と話していました。
母は彼に、ジェドの裁判での証言に備えての話をしに来たのでした。
「証言のこと、心配いらないよ。ジェドの裁判を台無しになんてしない」
と(浮かない顔で)話すオーウェンに、母は
「あなたが真実を話してジェドを助けるなら、誇りに思うわ。助けるでしょ?」
と圧力をかけます。
どんよりした調子で
「もちろんだよ」
と答えるオーウェン。
さらに母は
「ねえところで、誰かがあなたに近づいて、ジェドについての証言を変えさえようとしていない?
最近出会った誰かが、あなたを操作しようとしているんじゃないかしら。
聞いたことあるのよ。裕福な人間を相手取って、嘘の告発をする女性がいるって。
人を雇ってまで証人を脅したり混乱させたりするらしいの。そういうサービス(商売)もあるって。」
と、心配性が過ぎるような発言をするのでした。
(今まで、父や兄たちだけがオーウェンを苦しませる原因かと思っていましたが、母も母でこういう人だから、オーウェンがあんなふうになってしまったのかなと思いました)
さて、いよいよ裁判の日。
待合室では、ジェドとその弁護人やスタッフ、そして父がおり、オーウェンの証言の練習をしていました。
(このシーンでの弁護士の質問の中に“兄が合意のもと、あるいは合意なしに、放尿行為に及ぶところを見たことは?”というセリフが出てきて「ジェド、いったい何をやらかしたんだ?」となりましたね。ジェドが何の罪で裁判にかけられるのか、これまで分かっていなかったので)
練習の最中、原告側から電話が。
新たな示談の話でしたが、ジェドとその弁護人は「示談には応じない」と拒否。
なぜなのかとオーウェンが問うと、ジェドは「(示談なんて)ナンセンスだからだ」と即答。
オーウェンは「ならぼくの偽証なんか必要無いじゃないか」と反発します。
そんなオーウェンにくぎを刺す父。
「良いか、一度きりのことだ。ジェドはミスしただけだ。示談じゃ名家に大きな傷がつく。
もしも彼女が、自ら合意したことについてどうしてもジェドを許せないというのなら、我々家族が力ずくで許させるんだ。
これがミルグリム家の戦い方だ。」
と。
…やっぱり、威圧的で嫌な父親ですね。
浮かない顔でうなだれるオーウェンに、ジェドは
「頼むよオーウェン。俺はダメ人間だ。アデレードとも終わりさ。くそ!これはウソ泣きじゃないぞ。家族の一員なら助けてくれ。」
と懇願します。
オーウェンは、偽の証言をして兄を助けることに疑問を抱いていたはずですが、結局裁判の場では、兄を助けるための嘘をつきました。
しかし、原告側の弁護人から事件の決定的な証拠映像を見せられてしまいます。
(ジェドの犯した罪は、本当に最悪なものでしたね…)
そしてはオーウェンは“証人による証言の信ぴょう性を問うため”に、自らの病歴についても質問を受け、追い詰められます。
「本訴訟はオーウェン氏が証拠映像をどう見るかにかかっています。この男性はジェド被告に似ていますか」
と原告の弁護人に問われ
オーウェンは
「似ていません。…本人です。」
「間違いなく兄です。」
と証言。
最後の最後で、オーウェンは自らの正義を貫いたのでした。
第7~8話での“幻影”の中で、オーウェンはギャング一家“ミルグリム家”を裏切りますが、それがきっとオーウェンの潜在的願望だったはずですからね。
オーウェンが本当のことを証言して、見ている側としてはすっきりしました。
「殺してやる。俺がこの手で殺してやる。ぜったいに殺してやる」
と、オーウェンに罵声を浴びせるジェド。
■アニーと家族の“雪解け”
アニーは実家を訪れていました。
第2話で、アニーの父は庭のポッドに引きこもっていました。
実家を再び訪れたアニーは、ポッドに向かって自分の思いの丈を話し始めます。
「パパが引きこもっているのはもういや。私この世界に独りぼっちなのはもう耐えられないの。
ママは病気だった。家族に対処できず、捨てた。
パパは傷つき、そしてすぐに“大事なほうの”娘が死んだ。
優しくて、まっとうな人生を送っていて、明るくて、問題を起こすこともない、ママを思い出させない娘。
引きこもった気持ちはわかるけど、これ以上はもういや。外に出てきて。
唯一の家族として、私と一緒に居てほしい。寂しいよ」
…アニーは、父にとっては妹のエリーのほうが大事だと思っていたんですね。
自分は母にどことなく似ていると思って、父とは距離をとっていたのかも。
すると、アニーの背後から父の声が。
なんと父は、引きこもりを脱していたのでした。
そして
「誤解だよ。エリーのほうが大事だなんて思っていない。」
と、自分の気持ちを明かします。
アニーにとって、家族の問題は大きなものでした。
“幻影”の中で、妹に素直に謝ることもできて、距離のあった父とも寄り添うことができた。
その“雪解け”が訪れて、心から「アニー、よかったね…」と思ったシーンでした。
アニーは、父に治験のこと、オーウェンについて後悔していることを話します。
「オーウェンは全部話を聞いてくれた。なのに体験の中で私、オーウェンに迷惑かけっぱなしで、それでもずっと助けてくれた…」
そう話す娘の言葉を聞き、父は
「良い友達だな」
と微笑みました。
■二人を引き合わせる“サイン”
裁判のあと、オーウェンは精神病院にいました。
家族によって、入院させられてしまったのです。
医師はオーウェンに
「なぜアニーの話を避けるのか」
と問うと、オーウェンは
「2つの可能性があって、どっちもいやだからです。」
と答えます。
1つ目の可能性は、アニーが実在しないこと。
オーウェンがアニーの名前で住所を調べてみても、そんな名前の女性はいなかった。
次に治験の会社について調べてみても、ネバーディーン製薬バイオテック社なんて会社はどこにもなかった。
2つ目の可能性は、オーウェンにとって“もっと嫌なこと”…。
(一体何なのでしょうね)
一方その頃、アニーは浜辺で誰かと話していました。
「オーウェン私、自分のことばかり考えてた。放っておけないって言うべきだった。
一緒にいろんなこと乗り越えたあんたにさよならするなんて、無理だったんだ。
本当の繋がりなんて、めったに生まれないものだから。
それで、繋がったら離れちゃいけないから。」
素直な気持ちを吐露するアニー。
『えっ、アニーとオーウェン、会えたの!?よかったね!』と思っていたら
「なあアニー、言われなくてもわかってる。僕たちのつながりは特別だよ。」
と返したのは、私たちの知らないオーウェン!!
『誰!?誰なのこのヒゲ生やしたおじさんは!』
と混乱したのもつかの間。“ヒゲおじさん”はアニーが“フレンドプロキシ”でレンタルした偽オーウェンだと判明しました(笑)。
レンタルオーウェンの「オーウェンっぽくなさ」を指摘するアニー。
「ぜんぜんオーウェンぽくない。彼は苦しんでるの。でもひどい苦しみ方じゃなくて、心の奥で苦しんでる感じね。それにすごく思いやりと優しさがある」
と話すアニーからは、オーウェンを大事に思う気持ちが伝わってきましたね。
それにしても、オーウェンに素直な気持ちを伝えたいからと、レンタルオーウェンを雇って練習するアニー、かわいいですね。
その後アニーは、その場にあった新聞に目を奪われます。
なんと“本物のオーウェン”が精神病院に入れられたという記事が載っていたのです!
「これが偶然なわけない。きっとサインだわ。宇宙はただのカオスじゃないかも!」
そう言ってアニーは“レンタルオーウェン”を置き去りにしたまま、一人車を出発させ、オーウェンのもとへ向かうのでした。
…アニーは、父との会話の中で
「私、オーウェンに迷惑かけっぱなしで、それでもずっと助けてくれた…」
と言っていたじゃないですか。
そんな彼女が、今度はオーウェンを助けに行くという展開…!
アツい…!
■結びつく二人
アニーは、オーウェンがいる精神病院に。
面会のための記名をする際に
「姪のお見舞いです。夫は先に来てるんですが、私ちょっと遅れてきたの」
と、わざとらしく状況説明のようなことを話しながら書き込むアニー。
この時の受付票を見ると、アニーが書き込んだ名前は「リンダ」。
その上には「ブルース」の名前が…。
あれ、リンダとブルースってどこかで…。
偽名を書いて受付を済ませ、院内に潜り込んだアニー。
そして中庭でオーウェンを見つけ、その隣に座り
「こんなところで何しているの」
と話しかけます。
アニーを避けようとするオーウェン。それでもアニーは彼を追って話をし続けます。
「僕おかしいから」と言ってやっぱりアニーを避けようとするオーウェン。
「おかしくなんかないって。ちょっと変わってるだけ。
確かに治療は必要かもしれないけど、私はここじゃ治らない。あなたもでしょ。
幻覚が見えるからって何よ。じゃあ宇宙人や幽霊を見た人ってなんなの」
とアニーは言いますが、それでもオーウェンは
「僕のは違う。僕の頭はおかしい」
の一点張り。
アニーはオーウェンに
「私あそこのトイレに入るね。その30秒後にあなたも入ってきて。わかった?」
と指示しますが、オーウェンは「いやだ」「怖い」と拒否。
そして彼は“2つ目の可能性”に恐怖を抱いていることを話し始めます。
“2つ目の可能性”とは、過去にあったような経験を、また繰り返してしまうことでした。
オーウェンは、誰かと親しくなるたびに、関係を壊してしまっていた。
だから、きっとアニーと一緒に居ても、ある日突然自分が執着している何でもないことについて、彼女に怒鳴りだすだろうと。
そして、アニーとは音信不通になり、オーウェンは落ち込むだろうと。
「君が幻のほうが気楽なんだ」
そう話すオーウェン。
…これって、オリヴィアとの過去の話ですよねきっと。
オーウェンとオリヴィアはテスト勉強を通じて親しくなった。
でもある日オーウェンは
「オリヴィアは親が彼女にお金を払って、自分と仲良くするように指示しているだけだろう」
と思い込み、彼女に怒鳴り、関係を壊してしまう。
オーウェンは“1つ目の可能性”のように誰かを幻だったと思い込んだり、“2つ目の可能性”のように関係性を自ら壊したりして、いままで人間関係から逃げてきてしまっていたのでしょう。
つまり、誰かと素直に“結びつく”という経験をしたことがなかった。
不安を吐露したオーウェンに対し
「私は本物よ。知っているでしょ。あなたは勇敢な人よ。私は絶対に離れない。絶対に。30秒後だからね」
と再度指示するアニー。
オーウェンも了承し、ふたりはトイレで落ち合います。
トイレに移動したのは、オーウェンを着替えさせて病院から救い出すためでした。
「オーウェン、私たちは姪のお見舞いに来ていたの。楽しかったけど、もう帰る時間。
あなたはブルースで、私はリンダ。
この方法映画で見たことあるの、いけるわ。ほら、それを着てオーウェン。」
と、アニーはオーウェンに着替えを手渡します。
そう、ブルースとリンダと言えば、第4話の“幻影”の中での二人の名前でしたよね!
“幻影”の中では
オーウェン=ブルース
アニー=リンダでした。
「なぜ来たの」
オーウェンがそうアニーに問うと
「友達だから。当たり前でしょ」
とまっすぐな目で答えるアニー。
どんよりとしていたオーウェンの顔が、心なしかすこし和らぎ、彼は
「そうか」
とだけ返しました。
このシーンの、アニーのまっすぐな視線と、オーウェンの表情、ちょっと泣きそうな感じの二人が、見ていてウルっときました…。
二人は着替えて、そのまま受付を突破しようとしますが、守衛はアニーを
「あの、来た時は一人でしたよね」
と呼び止めます。
アニーは
「いえ、二人ですよ。幻覚ね」
と返答し、オーウェンを連れてそのまま出ていきます。
「あの、いや、確かに一人だったはず…」
戸惑う守衛でしたが、周りのスタッフも真偽のほどはわからず。
受付の記名票をチェックし始めます。
…このやりとり、ウィットに富んでいながらも、
「幻覚」「あたまがおかしい」って何なのかなって思わされるやりとりでしたね。
みんな、不確定な中を生きているんじゃないかと考えさせられるシーンでした。
病院を出た二人は、アニーが父からもらった車に乗り込みます。
車内には、アニーが保護した犬・ハーポの姿も。
(これ、妹から預かった犬・グルーチョを失踪させてしまったという過去から決別して、新しい犬と暮らすことにしたという意味が込められているんじゃないかなと!アニーが前進していることを表しているんじゃないでしょうか)
アニーはエンジンをかけようとして、深呼吸をします。
その様子を見て、心配そうに声をかけるオーウェン。
「エンジンをかけるときはいつもなの。」
と答えるアニー。
そして
「一緒にソルトレイクシティに行ってくれる?実は運転免許ないんだけど」
とオーウェンに問いかけます。
(え、免許なかったのかよ!)
病院スタッフがこちらを追ってくるのが見えたオーウェン。アニーに
「いいよ、とにかく行こう。気を付けて、行け行け!」
と伝え、二人は車で出発しました。
追いかけてくる病院スタッフたちをかわした二人。
二人とも、満面の笑みでした。
そしてオーウェンは「やったぞ、最高だ」と笑うのでした。
■全エピソードを見終えて
…これで、物語は幕を閉じました!
いやー。かなり爽やかで感動的なエンディングでしたね!
第1話の冒頭のナレーションで
「連鎖が連鎖を生んで、新しい世界が広がった。」
「何かが結びつくことには無限の可能性がある。これは人の心にも当てはまる。」
「仮に全人類がつながりを求めていたとして、心はそのことに気づいていない」
「友達との交流、家族との繋がり、結びつきが無いと人は不安になる」
というナレーションがありました。
“結びつき”“繋がり”を失い、不安定だったアニーとオーウェン。
そんな二人は“結びつく”ことにより、前に進むことができたのです。
“幻影”の中で、数々の体験を共有してきたふたり。
そんなふたりは、現実世界でもこれからいろいろな体験を共有していくのでしょう。
あとは、“家族とのトラウマ”を抱えたキャラクターが、“家族と仲直り”というような安直なエンディングにたどり着くのではない、という点も良かったと思います。
ジェームズとグレタのように、疎遠だったけど距離を取り戻せそうになるというケースももちろんあるでしょう。
でも、みんながみんな、家族と仲直りできるわけではない。
アニーのように、家族に会いたくても会えない状況になってしまう人もいるでしょう。
また、オーウェンのように、どうしても家庭に問題があって、そこに解決策は見いだせ無さそうな場合もあるでしょう。
このドラマでは、アニーとオーウェンという、血縁ではないふたりが結びつき、新たな冒険に出るというエンディングを迎えました。
しかも、恋愛関係というわけでは別にない二人です。
“家族”“血縁”とか“恋愛”“結婚”ばかりがどうしても重要視されがちな世の中ですが、そうでなくても、支えあい、旅に出られるパートナーはいるし、選択肢はある。
いろいろなしがらみに縛られがちで、それがストレスになってしまう私たちにとっては、このドラマのエンディングはとても希望に満ち溢れているし「自分も“結びつき”を求めてもいいのかもしれない」と思わせてくれるような印象を受けました。
たしかに前評判どおり“難解”な部分もありましたが、根底にあるテーマ(家族との問題、トラウマとの対峙、人との結びつきなど)は私たちも共感しやすい普遍的なテーマでしたし、何より映像のセンスが良い!
また、第7話くらいからラストへの畳みかけの展開も素晴らしかったと感じました。
少ししたらもう1周して「ここのシーンはここに繋がっていたんだな」とか、いろいろ再発見してみたいなと思いました。